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2015/06/15 自主避難者の「みなし仮設住宅」打ち切りを決定した福島県に相次ぐ批判の声――山本太郎参議院議員「冗談じゃない」、避難者からは「後の生活を想像したくありません」

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特集 3.11

※本日、6月17日(水)18時より、Ch5で、6月9日に行われた「避難用住宅の無償提供の打ち切りに反対し、撤回を求める院内集会」の模様を、緊急再配信いたします。
ぜひご覧ください。➡➡➡ Ch5

 「恐れたことが起きてしまった。『打ち切り』を防ぐために要請行動を続けてきたのに、何で(内堀福島県知事は)聞き入れてくれなかったのか」

 福島原発事故の影響で自宅を離れ、県内外に避難している人の数は、いまだ13万人に及び、そのうち約3万3000人は、政府が指定した避難区域外から避難している、いわゆる「自主避難者」だ。

 事故直後、福島県全域には災害救助法が適用され、自主避難者たちは、県がアパートや公営住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」に無償で入居。福島県から北海道、新潟、東京、神奈川、京都などに移り、全国各地で避難生活を続けてきた。

 避難者の中には、放射線による健康被害に不安を抱く母子のみの避難者世帯も多い。夫が福島県に残るという2重生活による経済負担が生じる中で、無償の住宅支援に経済的、精神的に支えられてきた。しかし、2015年6月15日、県はこれをあと2年弱で打ち切る方針を決定したのである。

 これまで、「みなし仮設住宅」の延長を県や国に求めてきた、「ひなん生活を守る会」代表の鴨下祐也さんは、福島県の発表を受けて、「避難者たちの声が知事に伝わらなかった。裏切られた気持ちだ」と話した。

▲5月27日、自主避難者や支援者らが12万筆の署名を国会に提出し、請願デモを行なった

避難者の要望を把握しながらも「打ち切り」を決定した内堀福島県知事

 被災3県のうち、宮城県と岩手県は、これまでと同じように「みなし仮設住宅」の延長を国に求めているが、福島県だけが打ち切りを決定した。それはなぜか。

 内堀雅雄福島県知事は、「公共インフラの整備や除染が進み、福島県内の生活環境が整ってきた」ことを、今回の決定の理由に挙げている。

 しかし、県が毎年4月末頃に結果を公表する「避難者意識調査」によれば、今年2015年は自主避難者からのアンケート回答率が前年と比べ大幅に増えたといい、「現在の住居に対してどんな要望があるか」という問いに対して一番多かった回答が、無償住宅の入居期間の延長だった。

 県はこうした自主避難者の要望を把握した上で、今回の打ち切りに踏み切ったのだ。

福島県は経済的な復興を急ぎたいのか

 国は6月12日、放射線量が高い「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」について、2017年3月までに避難指示を解除する目標を正式に閣議決定した。避難指示解除後1年で、東電による賠償も打ち切りになる。今回の「みなし仮設住宅」打ち切りの決定も、政府の「帰還促進」政策に則ったものであり、避難者らの生活実態を無視した、時期尚早な一方的な決定だと、批判が相次いでいる。

 「福島県は(原発事故による)被害がなかったことにして、経済的な復興を急ぎたい。そういうことなのかもしれません」

 福島県の本音が透けて見えると話す鴨下さんだが、代表を努める「ひなん生活を守る会」には、関東周辺に避難している家族約100世帯が名を連ねる。これまで、全国の避難者団体や支援者とともに、「みなし仮設住宅」の長期延長を求めてきた。今年5月には4万4000筆に及ぶ署名を内閣府や復興庁、福島県に提出。また、6月には、全国の自主避難者が議員会館に集まり、福島原発事故当時に総理大臣を務めていた菅直人元総理や、山本太郎参議院議員らとともに集会を開催。住宅の無償提供の継続を訴える要望書を賛成多数で採択。後日、内閣府を通じて、安倍総理大臣に要望書を提出した。

「打ち切り」発表当日、要望書を受け取り、そそくさと逃げた内閣府職員

 鴨下さんらが要望書を提出した6月15日、内閣府の防災担当者が議員会館を訪れ、要望書を受理したが、担当職員らはものの5分で面会部屋を退室。避難者から逃げるように要望書を持ち帰った。

 そして、その数時間後、福島県は「みなし仮設住宅」の打ち切りを正式に発表。鴨下さんらは報道でその決定を知ることとなった。

 「今日、提出する時に5分しか時間を取ってもらえなかったのは、こういうことだったんですね。あの方たちは(打ち切りの)内容を知っていたはずなので」

 決定が出た直後に鴨下さんはIWJのインタビューで、深いため息混じりのコメントを寄せた。

■2015/06/15 避難用住宅の無償提供の打ち切りに反対し、長期延長を求める要望書提出

山本太郎議員の憤り「冗談じゃない」

 「冗談じゃないですよね」

 福島県が打ち切りを決定した当日、山本太郎参議院議員はIWJの電話インタビューに応じ、怒りを込めて次のように話した。

 「加害者が被害者に対して一方的に線引きをして、被害者は話し合いのテーブルにはつけない不条理の中で、2017年3月で打ち切るという。その後はどうするんだと。福島県は、それぞれの状況を見て、所得の少ない人に対しては手当を検討すると言ってますけども、具体性にかけ、(支援の)内容が表に全然出てきてない。帰還促進という枠から出ないように見えますから、単なる(自主避難者の)切り捨てですよね。

 僕が心配するのは、子どもたちを避難させるために、帰還を選択しない世帯は、住宅支援が打ち切られたら、生活がかなり厳しいものになるということ。

 先日、千葉の銚子で起こったようなこと。行政が救いの手を差し伸べず、強制退去の日に母が娘と心中してしまったような事件。加害者による一方的な線引きによって生活が追いつめられていく結果、自ら命を絶つことにもなりかねないのでは」

 事実、こうした不安の声は、避難者自身から何度も発せられてきた。

 5月20日に行なわれた緊急集会で、福島市から京都市へ母子避難している河合さんは、住宅支援打ち切り後は「路上生活も考えなくては」と危機感を募らせていた。

 「1人親で子どもを2人抱えてフルタイムで働くというのは、とても難しいことです。正社員で雇ってもらえず、事故から2年間、すごく大変でした。

 住宅支援があっても大変なのに、打ち切られた後、家賃をどう捻出させるのかとても悩みます。貯金を切り崩すしかなくなり、住む場所を出ていけと言われたら路上生活も考えなければいけません」

「あと2年、時間がある。これからが頑張りどころ」

 電話インタビューの最後に、山本議員はこう続けた。
(IWJ・ぎぎまき)

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